相続相談について

「第22話」「相続の効力に関する見直し」と「相続人以外の貢献を考慮するための方策」

「第22話」「相続の効力に関する見直し」と「相続人以外の貢献を考慮するための方策」

 

 

改めて昭和55年以来「40年ぶりの相続法改正とは!?」に戻って、各見直し別に触れてみたいと思います。

※出展 法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律等の概要について」

 

 

それでは「40年ぶりの相続法改正とは!?」最終弾…

 

第5章「相続の効力に関する見直し」って?

 

相続法改正といっても、一般の方はそもそも現行制度をご存知ないと思うのですがいかがでしょう?

そこで…

今回は現行制度と新制度をわかりやすく紐解いていきます。

 

 

 

《現行制度では遺言書は万能!?》

 

現行制度を分かりやすく言えばこうなるのでしょうか。

しかし…

 

遺言書に力を与えすぎた故、一方で不利益を受ける人も出てきたため、実務上争いも絶えなかったのです。

 

 

 

《具体的に遺言書が万能といえるケースとは?》

 

【例えば】

 

 

父が遺言書で「私の財産は全部長男に相続させる」と残して亡くなりました。

 

 

二男はAさんから多額の借金をしています。

Aさんは借金を取り立てるために、二男が相続した財産を差し押さえたいと考えています。

 

さて…

 

Q. Aさんは無事に借金の取立てができるでしょうか?

 

A. 答えは…できません。

 

 

 

現行法だと遺言はこのようなケースの場合でも万能なのです。

 

遺言書の中に「長男に全部相続させる」と書いてあるのであれば、長男は当然にこれをAさんにも主張できます。

 

長男は「全部自分の財産なんだから、自分に関係のないAさんが差押えするのはおかしいでしょ?」と言えるのですね。

 

 

 

 

 

 

 

《現行制度は遺言の内容を知り得ないAさんを害する!?》

 

遺言書があるかどうか?

遺言書の内容がいかなるものか?

相続人でもないAさんが知るわけがありません。

 

Aさんとしてみると、相続が生じたのだから当然その半分は二男が相続するはずだと考えますよね。

というより・・・Aさんはそれを見越して二男にお金を貸したという事も考えられます。

 

つまり・・・「現行制度」はAさんの利益を一方的に害するものなのです

 

 

 

 

《新制度では遺言書は万能ではない!?》

 

えてみれば遺言書があるからと言って長男いい気になりすぎじゃ…」という感じもありますよね。

 

では、新制度・改正相続法ではどうなったのでしょうか?

わかりやすく改正民法899条の2第1項を読み解きましょう。

 

まず…条文はこんな感じです。

 

改正民法899条の2第1項

 

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない

 

 

 

よくわかりませんね・・・

 

そこで…どなたにでもわかるよう「超訳」してみましょう!

 

「超訳」 改正民法899条の2第1項

 

相続のとき、法定相続分を超えて財産を相続した場合は、法定相続分を超える部分については、第三者より先に登記しないと負けですよ。

 

ちなみに…

 

改正法は今年の7月、令和元年7月1日より施行されます。

 

 

 

 

《新制度は遺言の内容を知りえないAさんを保護できる!?》

 

新制度(改正民法899条の2)では、長男が全財産自分のものとAさんに主張したければ、我先に登記をする必要があります。

 

つまり…

遺言書があるからと言って、今までのように「遺言があるから安心」と言ってられなくなるのです。

 

 

 

 

 

《「相続人以外の貢献を考慮するための方策」って?》

 

いよいよ相続法改正ポイントの最後となる「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」です。

 

今回の注目点でもある改正ポイントですが、相続人以外でも故人の財産維持や増加に貢献した場合は、それに見合った金銭の請求ができるようになるのです!

 

現行法では直接の相続人ではない、長男の妻が一生懸命に介護をしたところで、場合によっては相続どころか、介護報酬すら全く受けることもできず、全てが徒労に終わる事が多々ありました。

 

しかし…

 

故人に対して生前に「無償」で介護などの「労務の提供」をしたことで、故人の財産維持、増加の寄与に繋がった場合、正式な相続人に対して労務に応じた額の「特別寄与料」の支払いを請求することができようになります。

 

仮に相続人同士が遺産分割で揉めていても、家庭裁判所が代わって請求することができますので、介護問題において大きな前進と言えるのではないでしょうか。

 

ただし…

 

遺産分割はあくまで相続人のみで行われますので、特別寄与者は遺産分割協議に参加することはできません。

あくまでも相続人に対する金銭の請求権のみが認められるのです

特別寄与料は相続人を知った時点から6ヶ月以内、もしくは相続開始から1年を経過するまでが期限となるため注意が必要です。

 

 

ちなみに…

 

「相続人以外の貢献を考慮するための方策」「相続の効力に関する見直し」同様、令和元年7月1日となります。

 

すなわち2019年7月1日以降の相続について適用されますのでお間違いなく。

 

ここでひと言…

 

特別寄与料制度の創設は、一見、被相続人の介護等で苦労してきた方にとっては朗報と思われるかもしれません。

 

しかし…現実的には特別寄与者が相続人に対して金銭を請求するハードルは決して低くはないでしょう。

 

請求後の関係はギクシャクしたものになりかねませんし、「請求額=貢献度」を巡って争いに発展する恐れもあります。

 

 

請求する側としては、自分の貢献度合いを主張できるだけの客観的な証拠(領収書、日記など)を残しておくことが必要になるでしょう。

 

     

 

 

介護してもらう側の立場としては、自分の亡き後まで家族に苦労をかけないためにも、やはり生前に贈与するなり遺言書を書くなりしておいてあげることが重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「40年ぶりの相続法改正のまとめ」

 

いかがでしたでしょうか?

半年間にわたってお送りした「40年ぶりの相続法改正」。

 

寄り道をしながらも、改正された6つの項目について解説させていただきました。

その難解さから終活を始めるとなれば、ある程度の決心をもって臨まなければなりませんが、どうやら今回の改正によって国民目線の緩和が実現しそうです。

 

「争続」と揶揄されるほど揉め事が起きがちな遺産分割などの相続の問題ですが、大きな争いにならずとも、なにやら親戚同士でお葬式の後に言い争いをしているところを見かけたことありませんか?

特に賃貸経営不動産投資を行っている方に関しては、自分の亡き後に所有する財産で家族が揉めないようにするために、早めの準備が必要です。

 

相続について全く興味が無かった方や、相続が不動産などの資産活用にどう関係してくるかを考えていなかった方でも、いずれは必要になる知識ですから、これを機に相続についてしっかり考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

「いつか来る相続に備え、残された家族が争わないように学んでおかなくてはいけないこと。」

 

 

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さて、第16回から7回にわたってお送りした「40年ぶりの相続法改正とは⁉」ですが、皆さま大枠はご理解いただけたでしょうか?

 

次回からは相続や遺贈なども含め、お持ちの不動産を売却した時に気を付けなくてはならないことシリーズ。

その第1弾は「不動産を売却した時の税金」についてお話をさせていただきたいと思います。

 

次回もどうぞお楽しみに!

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